攻殻機動隊

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講談社刊。全三巻。(1巻,1.5巻,2巻)

概要

 日本のサイバーパンク漫画の代表的存在。1989~1991年にヤングマガジン海賊版に不定期掲載(三ヶ月に一回)され、「ヤンマガ海賊版といえば士郎正宗」と呼ばれるほどの人気を得る。ヤンマガ海賊版の読者自体はかなり少なかったので有名にはならなかったが、その後加筆を行い発行された単行本でブレイク。同様にヤンマガ海賊版、ヤンマガ本誌に掲載された話を元に大幅な修正を加えて発行された第二巻、そのどちらにも掲載されなかった話を加えて、CD-ROMとのセットで出された1,5巻があり、これらを元にしてアニメ作品が製作された。


 80年代ごろ、スターウォーズなどのSF作品の人気の中で、読者のSFというものに対するイメージ、イマジネーションがSF漫画の作家を上回る時代があった。そのため読者を満足させるようなSF作品がなかなか存在しなかった。そこに突如「APPLESEED」、「攻殻機動隊」などのサイバーパンク漫画を投じ、その緻密な設定とストーリー、情報量で読者を圧倒させた士郎正宗の衝撃は大きかった。当時の漫画ブームもあり、攻殻機動隊は「みんな読んでた」といわれるほどの人気となる。

 この漫画の影響を受けた人は多い。

 また透明化技術に「光学迷彩」という日本語名を与えたことでも有名。SF作品にこの名はよく登場し一般的な呼称として定着している。東大で光学迷彩の研究が行われたことがあり、参考文献としてちゃっかり名前が載ってたりする。


内容

企業のネットが星を被い、電子や光が駆け巡っても
国家や民族が消えてなくなる程
情報化されていない近未来

アジアの一角に横たわる
奇妙な企業集合体国
日本・・・・


 舞台となるのは2030年の日本。ハイテク化が進み、多くの人々が電脳化を施し、サイボーグ化手術を行う人も珍しくなくなっていた。主人公である草薙素子(くさなぎもとこ)は内務省管轄下で軍人として特殊部隊活動を行っていたが、第二話(実質第一話)で首相直属の対テロ組織「攻殻機動隊」が設立され、その部隊員として活躍する。

 電脳化やサイボーグ化に関する詳細な設定と、それらを背景にした社会が非常にしっかりと描かれており、ストーリーについても単にSF要素だけでなく、政治、経済、テロや安全保障など今我々が直面しているような問題に、そのSF要素として出てくる未来だからこそあるような特殊な犯罪・問題をうまく組み込み、ストーリーだけでも十分に読み応えのある作品となっている。

 SFの醍醐味である哲学についても触れており、一巻、二巻の最後なんかはついていくのがしんどいかもしれない。


 漫画の手法としても高度かつ特殊な部分が多く、省略と補足をたくさん使うことで無駄なく膨大な情報を与えてくれる。最小限の描写でそれぞれのキャラが何をしているか、そこで何がおきていたかを説明するというのは読者に補完力と知識を要求する高度な手法ではあるが、それが出来る人にとってはこのスマートな描き方が気持ちよく、楽しんで作品を読めるだろう。同時に欄外の注釈がやたら多く、作者自身が作品と同時進行で注釈読むとテンポ悪くなるから漫画読んでからの方がいいと勧めるほどである。しかしこの多くの注釈がこの作品の面白さのひとつでもある。

 読者にある程度のレベルを求める漫画の描き方・ストーリーと大量の注釈は漫画の編集側が作家に特にやるなということであるが、それを堂々とやってのけてそれが面白いのだから作者の技量はすさまじいものである。


 ちなみに第二巻は部隊を抜けた素子(のコピー)がとある大企業の幹部となっており、電賊と電脳戦を繰り広げていたりする。電脳戦というネット的な話に徹しており、大量のカラーページとほぼCGの背景によって描かれる電脳空間がやったらめったらかっこいい。視覚的に楽しむ作品となっている。


 個人的には1巻のほうが面白い。1.5巻は本屋で売ってねぇから手に入んねーよバーヤヽ(`Д´)ノ


 新都社ではろどりげすがファン。墨梟も。


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